【映画】1年経っても忘れられない作品 『茶飲友達』

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去年の2月くらいかな、公開を心待ちにしていた映画、『茶飲友達』を見に行きました。
1年近く経った今でも、思い出すと心揺さぶられる作品。

けれど、おそらく小さな映画館でしか上映されていなかったので、周りにも見たと言う人がいない!
「めっちゃ良かったから誰か見て!!」という気持ちが未だにくすぶっているので、当時インスタにupした感想をもとに、ブログを書いてみることにしました。

目次

映画『茶飲友達』のあらすじ

2013年10月、高齢者向け売春クラブが摘発された事件をもとに作られた映画です。

実際の事件では新聞の三行広告に「茶飲み友達紹介」と掲載し、応募してきた男女に10年もの間、売春を仲介していたそう。
会員数は約1350人、うち男性は約1000人で最高年齢が88歳、平均年齢は65歳前後。
女性会員は約350人で最高年齢82歳、平均年齢は60歳前後だったとか。

そして、実際の経営者は70歳の男性だったみたいだけど、映画では29歳女性として岡本玲ちゃんが演じてます。
若者の閉塞感も深堀りしたくて、監督がこの設定にしたんだってさ。

このブログを書いてる今、久しぶりに予告を見たけど、やっぱりこれだけで涙が出る。
予告の最後に岡本玲ちゃんが泣き崩れているシーン、この前後も含めた演技が素晴らしすぎて、「素晴らしすぎて」と書いた後、なんて書いたらいいか分からなくて、泣きながらぼーっと考えても全然思いつかない今でした。

『茶飲友達』本編は、月額550円でアニメ・エンタメ作品見放題のDMM TVから視聴できます↓

鑑賞前

ここからは、感想などなどを書いていくね。
あからさまにネタバレになるようなことは書いてない。はず。だけど、少しも何も知りたくない人は、ここから先は読まない方が良いことを推奨。

鑑賞したいと思ったきっかけ

ある日YouTubeのおすすめで、突然先程の予告編が出てきた。
「何だこれ、面白そう。」ととりあえずタップ。

これは高齢者の性について描かれてる作品っぽい。
性について描かれたものって、つい見たくなるんだよなぁ。

岡本玲ちゃんじゃん。きゃ♡

なんてことをぼんやり考える脳内。
進んでいく予告映像。

そして、突如出てきた

正しいことだけが幸せじゃないでしょう

という力強い言葉。
⁡これに私はズキュンと撃ち抜かれてしまい、「絶対に見る!!!」と決めたのでした。

気になることが多すぎる“性”

性って、人間から切っても切り離せないものなのに、どことなく他の話題よりタブー視されることが多い。それが健康な若者の存在以外とともに語られる場合は尚更。
私にとって性とは、沢山の矛盾を抱えた不思議な存在で、昔から気になることが多いものでした。

今回の映画とは方向性は少し違うけど、中学生の時にはって漫画と出会いました。
よしながふみさんの有名な作品のひとつ、との出会いもこの頃で、

歴史を男女逆転させて描いただけで、すごく不思議な話に思える。
本当は、歴史が辿ってきたことも、現状私たちの周りにある色んな文化や制度の形も、それが “普通” だと思い込まされてるだけなんじゃなかろうか。

などと考えさせられたのでした。

高校生の時には、って本から読書感想文を書いたりもした。
大学生の頃は、障害者の方の性について書かれたって本を読んでみたり。

こんな風にして、色んな方向性から、“性”に関しては気になっていたよう。
実際に自分も体感したいと思って、いくつかの場に飛び込んでみたり、色々試してみたりした思い出もあります。どこに飛び込んで 何を試したのかは内緒。
ちょっと本を読んで、ちょっと体験したくらいで分かることなんて知れてるけど、色んなことを実際に味わってみたかったの。

話がそれたけど、そんな風にして、子供の頃から興味のある題材が描かれていそうだった『茶飲友達』。
惹き付けられたのはごく自然なことでした。



ちなみに、主演の岡本玲ちゃんのことを初めて知ったのも、中学時代。
たまたまつけてたテレビに出演されていたの。たしかクイズ番組だったはず。二コラで知ったんじゃないんだな。

「可愛い!」とググッたら、同い年で、特技がピアノとそろばんっていう自分との共通点が多く、それからは「ファンとまでは言わないけれど、どこか心に残ってて、見かけたらちょっと嬉しくなる」そんな存在の女優さんでした。

そして、このブログを書きながら、こんな記事見つけた!
岡本玲、高崎映画祭「最優秀主演俳優賞」受賞 芸能生活20年となる節目の年に「心からうれしく思います」1/11(木) 12:00配信

『茶飲友達』で、岡本玲ちゃんも外山監督も、それぞれ賞を獲られたみたい。

いざ映画館へ

来場者プレゼント

タイトルの『茶飲友達』になぞらえて、来場者にはお茶のプレゼント、なんていう粋なはからいも。
と思ったら珈琲だった☕️

心に残った言葉たち

暗記だから、ちょっと言い回し間違えて書いてたりはするかも。

「心のパンツ」


「希望が無くなったんじゃなくて、希望を持ちたかったから」


「お年寄りには、日向ぼっこでもして過ごしてほしいと思ってるでしょ」


「ルールとか常識とか、みんな洗脳されてばっかだから誰も幸せそうじゃない」


「傷つくのが怖くて何もしないでいると、何もしない間に少しずつ傷ついていく」


「ルールからこぼれ落ちる人がいる」


「正しいことだけが幸せじゃないでしょう」

今読んだだけでも胸にずしんと来る。
映画本編を見ていない人でも、何か心をつかまれる言葉があるかもしれません。

感想

本編を見たからこそ感じられること

正しいことだけが幸せじゃない

という主人公のセリフ。
言い方を変えて2回(だったかな)出てくるんだけど、それぞれで感じるものが全然違った。

そして、予告編でこの言葉を聞いた時は、
「はぁ、わかる。」
という自分目線のみの共感の気持ちだったけど、一連の物語の中で聞くと、主人公がどんな思いでこの言葉を吐き出してるのかがよく分かった。つもり。
同じ一言でも、継ぎ接ぎ(予告)で見るのと、2時間ほどのストーリーの中で見るのとで、全然見え方が変わるよね。


そして、見え方が変わると言えばもうひとつ。

これまた予告編を見ただけの時には、映画からとにかく「高齢者の性、性、性」っていう感じを受けていました。
けれど実際に本編を見ると、「テーマのひとつとして“高齢者の性”を描きたいのだろうけど、それを特別なものとして描きたかったわけじゃない」そんな気がした。

良い意味でそこばかり強調して描かれてなくて、

・家族、ファミリー
・寂しさ
・女性の生き方

なんてテーマも強く感じたよ。
見る人によっては、「いやいや高齢者の性が強調されてたでしょ!」って思う人もいるかもしれないが。
高齢者中心の話かと思いきや、若者たちの様々な問題も描かれていて、どれも胸に来るものがありました。

血が繋がってても、繋がってなくても、家族をつくるのって難しいね。というか、家族ってなんぞや。
と、「家族」という言葉が大嫌いな私は思ったのでした。

家族について書いた投稿↓


自分が経験したことでないと、深く理解するのは誰だって難しい。そう思うと、高齢者を本当に理解できるのは誰なんだろうな。

正しさを振りかざしてしまう瞬間は誰にでもあるし、その正しさに守られる時もある。

家族がいたって、ファミリーがいたって、どうなったって、誰も寂しさからは逃れられないのかも。

私も、父が亡くなったってどうだっていい、と思ってたな。

…と、色々なことを考えさせられました。

映画のなかでの主人公の結末は、見る人によって捉え方、理解が分かれそうな気がする。

私にとって、“正しさ”とは

映画の中身が丸っきりファンタジーとは思わない。実際、現実の事件をベースにしてるし
だけど、映画として成り立たせるためのファンタジー要素もそこには確かにある。
だけど。
「所詮作り物なんだから…。」たとえそう思って鑑賞したとしても、“現実的”な感想はあえて持ちたくないなぁと、私の何かが抗っていたのでした。


「正しいことだけが幸せじゃないんだよなぁ。」

って感じたこの気持ち。

誰かからは馬鹿にされてしまうかもしれないけど、それでも手放さずに持っていたい。
“正しさを体現して生きる”ことは時に難しいけれど、“正しさを振りかざす”ことは、いつだって簡単なことだから。

余談

映画はわりと家で見るのが好き。そしてもし映画館に行くなら、基本は大画面に大音量で見る意味がありそうな、洋画のアクションやSFを見に行くことが多いです。
だから、こういうしっとりした邦画を見るためにわざわざ映画館に行くなんてこと、私にはレア。
って言うと、イメージと違って驚かれること多々。THEアメリカ!的な映画大好きだよ。

それから、映画や小説など、物語的な作品はなるべく一気見、一気読みしたい派。
だが、子供を持ってから、それを叶える 時間・気力・体力の全てをしっかり揃えることがなかなか難しい。
加えて、“物語”を受け取ると、良くも悪くも1週間は影響を受け続ける。
そのためここ何年かは、物語に関わることを意識して避けてるところもあったの。

そんな私が、「時間・気力・体力の御三家を頑張って揃えて、鑑賞によって受け取る負荷も受けて立とう。」という決心を固めて見に行って、未だに心に残り続けているのが、『茶飲友達』でした。
咳喘息の名残があるなか、大量ののど飴ちゃん達を従えて、劇場まで行って本当に良かったです。

岡本玲ちゃんの演技、めちゃ良かった。と言いつつ、どの役の方も全員、ものすごく良かった。

『茶飲友達』本編は、月額550円でアニメ・エンタメ作品見放題のDMM TVから視聴できます↓気になった人はぜひ…!

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この記事を書いた人

ちぃ 島根出身 兵庫県在住 91年生まれ

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