【本紹介】『正欲』 著:朝井リョウ

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昨年末、スマホのメモに書いてそのままにしていたものを放出しようかなと。

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この本がハードカバーで出版された時から「早く文庫本になれー!」と願い続けていたので、発売されて即買い、即読みでした。

朝井リョウさんの小説を読むのはこれが初めて。
でも、朝井さん原作の映画、『桐島、部活やめるってよ』『何者』やドラマ『武道館』はどれも心に残ってる作品。

「きっと間違いないだろう。」と思って手に取った。

結果、今年(=2023年)1番刺さった本。
今年読んだ中で1番良かった本。


…と言っていいのか。

「良かった」という表現が適切なのかは分からない。

目次

感想

私が持っているあらゆる要素は、基本的に思いっきりマジョリティ側にある事が多いと思う。 
けれど、「マジョリティの中でマイノリティだなぁ。」と思った事は、これまで生きていて何度もある。

誰だって、多かれ少なかれそういう体験はきっとしているはず。

ただ、私は良くも悪くもひとつひとつのことを考えまくる性格。
そのおかげで?自分の浅いマイノリティ体験のなかでも、色々気づいたことがある。

例えば、

多数派でいられるってことは、大して頭を使わずに、さして悔しい思いもせずに生きていけるってことなんだろう。

とか。

そういう事を、この本が沢山代弁してくれていて嬉しかった。

全体を通して、共感したり、よく言ってくれたな、と思うことがとても多い作品でした。 平々凡々な私がこんな感想を言う資格はないのかもしれないけれど。

~終~

なーんて締められたら気持ちが良かったよね。
だけど、そんな “分かったような” ことだけ感じて読み終えることはできないのがこの作品。

「よくぞ言ってくれたなぁ…。」と思うと同時に、自分の中には、自分がマジョリティだということにも気づかずにいられている部分もまだまだ沢山あるんだろう、ということも改めて思い知らされた。

「思いを代弁してくれている!」と嬉しくなっても、過去の無念が晴れて溜飲が下がっても、そんなお気楽な場所には留まらせてはくれない。

己のことも省みろ、お前は被害者になった事もあったかもしれないけれど、同時に常に加害者なんだ、ということを突きつけられる作品でした。

付箋をつけた箇所は、ひとつでも読むと身体の中に熱い何かが込み上げてくる。

…というところまで書いて、その続きを書きかけたところで終わっていました。

どんな人に1番読んでほしいかなぁ。

生きているなかで、何度も強い疎外感を味わったことのある人。

“普通”に苦しめられてきた人

かな。

決して楽しい気持ちになる話ではないけれど。良ければどうぞ。

「正しい欲」とはつまり、「許される欲」ってことで、それはつまり「理解される欲」ってことなのかな。

最初の方だけぱらりと読んで「あーこれは許されない欲だわ。」と本を閉じずに、その先を読んでほしい。

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この記事を書いた人

ちぃ 島根出身 兵庫県在住 91年生まれ

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