🎤インタビュー Vol.1 前編 世界観スタイリスト・フォトグラファー渕上飛鳥さん

色んな人の頭の中、心の中のお話しを聞きたい！

ひとりひとりの魅力や想いを、もっと沢山の人に知ってほしい！

そんな気持ちから、インタビュー記事を書いていくことに決めました。

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記念すべき初インタビューをさせていただいたのは、大阪府にお住まいの渕上飛鳥(ふちがみ あすか)さん。

アパレル販売員歴12年、様々な現場経験で培われた抜群のセンスのうえに、パーソナルカラー、骨格、顔タイプの診断資格も所有。
お客さま一人一人の本質を引き出したコーディネートを組む、パーソナルスタイリストのお仕事をされています。

加えて、2024年からは、カメラマンの友人とタッグを組んでのブランディング撮影チーム「IRO(イロ)」の活動も開始。

最近ではついにご自身でもカメラを購入し、飛鳥さん個人への撮影依頼も増えてきているそう。

3か月間ぐらい悩み倒して。めっちゃ悩んだんですけど、気軽に持ち運べるのが一番だったのでこのコンパクトデジカメにしました。
今後、本格的に個人でもカメラを仕事にしていくんやったら若干心もとないなぁとも思ったんですけど…写真撮られる時って、ただでさえ緊張しませんか？プロ用のでかいカメラを向けられたらなおさら緊張しますよね。

だから私は遊びながらっていうか、友達同士でキャッキャ言いながらスマホで撮ってるような感覚の撮影ができたらいいっていうのもあって、それだとこのカメラが1番いいんですよね、その人の素の“らしさ”を撮れて。私はカメラが好きだから自分なりに探求はしているけど、プロではないし、写真のクオリティや作品的な幅をプロっぽくしていきたいわけでもないから。

飛鳥さんのカメラ

最初は趣味のつもりで、レンタルしたカメラで家族や友人を撮っていました。でもその写真をInstagramに載せていると、「私も飛鳥さんに撮影してほしい」と言ってくれるお客さまが何人もいて。

依頼をくださった方はみんな、
「これまでは、阿吽の呼吸でくみ取って、私の内面まで表現してくれるカメラマンさんがいなかった」
「写真を撮ってる人は沢山いるけれど、私が表現したいものや、私の内面までを引き出してくれる人がいないかった。」
という風に言ってくださっています。今までは伝わる人がいなかったと。飛鳥さんならそれができそうやからお願いしたと言われました。

それから、「撮影した写真をどうで使うかは置いておいて、飛鳥さんに撮ってもらうことで“私もまだ知らない私”に出会いたいし、飛鳥さんの感性に触れたい」といった言葉もよくいただきます。

そうだと思います。
起業当初は、スタイリングというよりはパーソナルカラー診断や顔タイプ診断といった、“その人に似合うものを診断する”メニューを強く打ち出していたこともあって、色んなタイプのお客さまが来てくださっていました。

でも今のお客さまには起業されている方も多くて、「似合うものを知ってお洒落になりたい！」「垢抜けたい！」というよりは「自分の魅せ方をもっと知りたい」なんていうブランディング要素が絡んでいらっしゃいます。
だから、診断というよりはスタイリングのご提案に力を入れるようになったし、スタイリングだけでなく「IRO」というチームで撮影もするようになりました。

でも、ブランディングだからと言って、ありきたりな宣材写真とか、起業家っぽいポージングや背景、小道具は「本当にいるかな？」っていうのはよく思います。
あくまでもそのお客さまの感性に沿って撮影して、「この方にはどんなものがイメージに合うかな？どんな写真があるとその人らしさが伝わるかな？発信に使いやすいかな？」と考えることを大切にしたい。
顔をしっかり写したものが良い人もいれば、引きの方が世界観が引き立つ人もいるし、ご本人だと分かる写真だけではなくて、風景や手元だけ…など色んなパターンを撮ります。

写真の色味調節も同じような考え方でしていて。
一般的なカメラマン界隈では、基本的には全部の写真を似たような色のトーンで仕上げるというセオリーがあるみたいなんですね。
例えば寒色系寄りに仕上げるカメラマンもいれば、暖色寄りの人もいるし、ふわっとしてるのか、パキッとしてるのか…と、写真のトーンを揃えるセオリーがあるらしいんです。

でも、私はお客様によって変えたいんですね。そうすることで「飛鳥さんが撮る写真ってこんな感じ！っていう統一感がないよね？」となってはしまうんですが、それでも私はあくまでその人の感性に沿いたい。
カメラマンの私の色なんて勝手に写真に入っていくんだから、とにかくお客さまひとりひとりの「らしさ」が最大限に引き出せるものを撮りたいんです。

これまで私が個人で撮影させてもらったお客様で言うと、例えばAさんには、いい意味での二面性があったんですね。

なので、パキッとしたちょっとダークな感じの写真と、ふわっとした柔らかい写真、どうしても両方を撮りたかったし、レタッチも両方変えました。
1人の被写体の人でレタッチを変えるっていうのは普通はしないみたいですけど、それでもいいや、それがしたいんだと。

Bさんの時には、レタッチの時にあえて背景を思いっきり不自然に歪めました。
普通はわざと背景をぼかすと不自然になるからやらないらしいんですけど、Bさんにはちょっと“宇宙人感”を出したくて。

に！」ではなく、その人の内面を引き出したい。なんて言ったらいいだろう…。見たことない自分に出会えるようなものを提供したい。
だから、「なんかその辺にいる、なんとなくお洒落な人みたいになれた私」じゃなくて、ライフスタイルとか背景とか色んなものを考慮しながら、ちゃんとその人が素敵に見えるスタイリングを組むのが好きなんですよね。

例えばパーソナルカラーがスプリングで温かみのある色が得意な人だったとしても、その人の背景に爽やかな風が吹いてるところが見えたら寒色を取り入れたスタイリングにしてみたり。

でも、お客様ご自身がこういった色んなことを考えながら日々のコーディネートを組むのって、多分結構難易度高いですよね。それを代わりにするのがスタイリストの仕事だと思っています。

ただトレンドコーデを知りたいって時には、高いお金を払って私のようなパーソナルスタイリストに依頼するよりも、アパレル店員さんにコーディネートを組んでもらって、そのまま購入するので十分だと思いますよ。

スタイリング中の飛鳥さん

昔からなんです。でもね、誰にでも入れるわけじゃなくて。オーラとかも見えたりするんですけど、それも常に見えてるわけじゃないし、写真とかでは無理で。対面で一度喋ると、その人のイメージが一気に浮かんでくるというか、“見える”んです。

私は基本的にあんまり対人関係得意じゃないんですよね。人嫌いやけど、人が好きみたいなややこしい性格してて、女子の仲良しグループとかコミュニティとか無理なんです。なんか、なんか知らんけど怖くて！得体の知れない恐怖心みたいなんあって！笑

色んなこと気にしすぎて、人の感情が全部入ってくるんで疲れるんですよね。他人の感情に飲み込まれて自分がなくなるというか。うまく境界線が引けない。

でも、そんな風に境界線が引けないからこそ、その人の奥底が見えるのかもしれない。

自分のことって自分が一番分からないですよね。自分やのに自分のこと分からん。私も自分のことは分からなくなる。
でも、私は目の前のその人になってるから見えるんですよ。あとはその見えたものをスタイリングや撮影で引き出していくだけというか。
でも、それは言ったらめちゃくちゃセンシティブなことでもあるので、どこまでその方に踏み込んでいくのかには、すごく気を付けています。

お客さまとのショッピング

ファッションを楽しいと思ったことが一度もないという方がいらっしゃったことがあります。 なんかすごい自分を変えたい。殻を破りたいみたいな感じで、いろんな方向から自分を変えよう、変えようっていうのをされていて。

自分を変える行動の1つとして、「IRO」でしているブランディング撮影会に参加してくれたのが出会いでした。
プライベートやこれまでの人生のこと…それこそかなりセンシティブなお話しも聞きましたし。 その後、私の ショッピング同行※ メニューにも申し込んでくださって、「飛鳥さんと出会って初めて買い物を楽しいと思いました」というメッセージもいただいたんですよね。

（※ショッピング同行…お客さまのショッピングに同行し、洋服選びをサポートするサービスのこと。)

そこから彼女の中でちょっとずつ「もっと知りたい」っていう気持ちが出てきて、はじめは絶対したくなかったメイクにも興味が湧いてきて。
まずは色付けるぐらいから始めるといいんじゃないかってことで、似合いそうな色付きのリップ教えてあげて。でも、それだけでやっぱ顔色変わるから、Zoomで「すごい。今日なんか違うね！」って褒められたそうなんです。

もう、そういうちっちゃな変化が嬉しいじゃないですか。きっといきなり超絶おしゃれになりたいわけじゃないと思うし、みんながみんなゴールが「おしゃれな人」ではないんだと思うから。
ちっちゃな変化とか人から褒められるとか、自分で自分のことをちょっといいなと思えたり、「今日リップ塗ったら褒められたから、じゃあ明日もこれ塗ってみよう！」みたいなちっちゃいワクワク。 そういうのが楽しいし、それがきっと内面を変えていく。

多分私は、分かりやすい正解を伝えるとか、1日ですごいガラッと変わって…みたいなのが好きじゃないんです。

ファッションもそうだし、カメラや写真もそうだけど、正解なんかないですよね。人それぞれ感じ方が違うから、例えば私の服を「かわいいおしゃれ」って思う人もいれば、「なんなん？その服」って思う人も絶対にいるし、それでいいんですよ。私は「これが可愛い」と思って、共感できる人とワイワイできたら楽しいから。

今年はこれがトレンドだから、お洒落になるためにはこれを着ようとか、診断で分かった“似合うもの”を着ようとか、そんなん実はなんでも良くて。みんな好きな服を着たらいい！

「個性を大切にしよう」とか、「診断で似合うものを知ろう」みたいな風潮があるにもかかわらず、結局みんなトレンドにのって同じ格好するっていう矛盾みたいなのが、私はあんま好きじゃなくて。

診断も、本当に自分のことが分からなくなって、でもなんとかして自分を変えたいという人の足掛かりにはなるけど、それが全てではないし。
トレンドや診断通りの格好をするのが本当に好きならそれでいいんですけど、そうしないといけないわけじゃないんだよっていうのは伝えたいですね。

「じゃあどうしたらいいですか？」ってなると、その人との深い関わりを持ったうえでスタイリングをしないとあかんから、それこそ伴走することが大事だと思うし。私はやっぱりその人の内面をすごく大事にしたいという思いが強いんだと思います。

誰かを否定したいわけではないんですけど、「ファッションってこうしなければいけない」という縛りみたいなものを感じてモヤっとしてる人がいたら、「そんなことないんだよ」って伝えたい。

そんな思いもあって、今後はパーソナルカラー診断など、診断系のメニューをメインに掲げるのはやめて、スタイリングの仕事とカメラを中心にやっていこうと思っています。 もちろん、必要そうなお客さまには、今後も診断のご提供はしていきたいんですけどね。

きっと診断メインにしたサービスの方が需要があるとは思うし、SNSでも「こういう発信をした方がいいんだろうな。」というのもなんとなくは分かるんですけど…できないんですよ。
一般的なビジネスノウハウとか本当に！苦手！もう、そう、だからダメだなと思うんです。ビジネス向いてないわ…！

こういう部分で負のループに入って、また浮上してを繰り返したりもするんですけど笑。 でも、お客さまと会っていると自然とテンションが上がっていくから。お客さまと会ってないとだめみだいですね。

スタイリングでも撮影でも、ここ最近させてもらった人とかはほとんどみんな、「あすかさんの感性に触れたくて依頼した」って言ってくださるんですよ。
診断に関しては、私よりももっと理論的に分かりやすく説明してる方がいっぱいいらっしゃるし、私は「その人の内面を引き出すファッション＋写真で可視化する」っていう、私にしかできないことを大切にしていこうって思います。

私自身もそうなんですけど、自分らしさってみんなすぐ忘れるから。「自分の声を聞いて自分らしく生きていこう！」って決めても、結局周りと比べたり、自分ができないことをできる人を見て自分を卑下してしまったり…。このサイクルって、少なからず誰にでもあることだと思うんです。だけど、自分らしさを最大限引き出したものを写真に撮れば、それを見て“自分”を思い出せるでしょ。 そういうことをしていきたいなと思っています。

前編はここまでとなります。
最後まで読んでくださってありがとうございました！
続く後編では、カメラやファッションを通して見えてくる、飛鳥さん自身の“世界のとらえ方”に迫ります。

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